パリの、本物と偽物・・・(パリ旅行5日目-2)

オルセー美術館からセーヌ川を渡ると、オランジュリー美術館、ルーヴル美術館がある。その二つの美術館を結ぶようにあるのがチュイルリー公園。本当はオランジュリー美術館も行きたかったが、さすがに1日で3つの美術館は回りきれないので、チュイルリー公園を右に抜けてルーヴル美術館へ向かう。

その、セーヌ川にかかる橋を渡ろうとした時のことである。
すぐ横で 黒い髪で黒い目の小さなおじさんが 何やら拾った。そして、笑顔で「こんなのあったけど?あなたの?」みたいに見せてきた。見ると、それは金色の安っぽいリングだった。「ちがうよ」とジェスチャーで答えたら、しばらくリングを眺めてから、「これ、あんたにあげるよ!」みたいに言って そのリングをくれたのである。どうしよかなっと思いつつも、おじさんが渡してくるので 受け取ったら、しばらく横を付いてきたおじさんが、いきなり「お金をくれ」と言い出した。「指輪あげたんだから お金くれ」としきりと言っているようであった。なので、「これはいらない!」とリングを返したら、おじさんはしぶしぶ退散。
夫と、「こんなことやって お金稼ごうとする人がいるんだね」などと言いながら橋を渡りきろうとしたその時・・・、私たちの横で、黒い髪で黒い目の小さなオバサンが 何やら拾った。そして、笑顔で「こんなのあったけど?あなたの?」みたいに見せてきた・・・。・・・「違うし、いらないし」っと断りながら 夫と苦笑。たぶん二人は夫婦なんだろうな。毎日 この橋でああやってるんだろうな。その金色のリングが、見るからに金ではなくって安物の偽物だったのが、悲しいような 憎めないような・・・。こんなことでお金払う人は 一人もいないと思うけどなぁ。お金を要求するおじさんは、脅すわけでもなく、全く怖くなかったし、断ったら すぐに引き下がったしね。

ひとつの橋を渡る短い間の そんな「ドラマ」に苦笑いしつつ、チュイルリー公園に入ると、並木のむこうにルーヴル美術館が見えた。
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7冊のガイドブックを3回ずつ読んだ夫が「ルーヴル美術館は正面から入ると、入るだけですごく混雑するから、ライオン門っていう裏口みたいなところから入るといいんだぜ」と言うので、セーヌ川沿いの、ライオンの像が2頭並んだ小さな入口からスルッと入った。
しかし、こういう裏ワザを使った時には注意が必要なのであった。多くの人が利用する正面入り口には案内板も多いし、何より そこから入ることを前提に動線が考えられているので、正面入り口を利用すれば 無意識のうちに正しい方向に人は流れていけるのである。それが、「通(つう)」がやるようなことをやると、注意していなければ 正しい順路に乗れない危険性があるのである・・・。
実は オルセー美術館で、私たちはその失敗をしてしまった。ガイドブックに小さく書いてあった「効率よく回る方法」に気を取られて、いつの間にか、本来設定されている動線から大きく外れてしまったのである。その結果、上に行こうとしているのにエレベーターもないし エスカレーターも下りしかなく、「どうなっちゃってるのよぉ?」と言いながら すごい量の階段を上り、ヘロヘロになってしまったのである。ひととおり目的のものを見て 出入口に戻ったら、ちゃんと上りのエスカレーターがあり 自分たちが逆回りしていたという事実に気づいたのであった。
だから、ルーヴル美術館では まず 見るべきものの場所を確認しつつ、順路の看板にも気を付け、「モナリザ」を目指した。
「モナリザ」を肉眼で観るのはもちろんはじめてだったが、やはり本物を自分の目で観るのはちがう。思っていたより赤みがあり、袖の色など、「こんなだったんだ」と驚く。
アングルの作品のいくつかは 学生時代に たしか東京の大丸だったかで開催された美術展にも来ていたことがあったので、はじめてでないものもあったように思う。・・・記憶が不確かなのが情けないが。
そんな素晴らしい絵画もたくさんあったが、ルーヴルでよかったのは なんといっても石像たちである。
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一番観たかった「サモトラケのニケ」。圧倒される美しさ。紀元前190年ごろに、こんなものを作っていた人たちがいたんだ。なくなっている他の部分も含めた完全な姿はどんなだったのだろう。その頃の人々の生活はどんなだったんだろう。
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勝利の女神ニケは これからずっと ここのこの空間にいるのだろうか。そのすばらしい空間から立ち去りがたく、ニケのまわりをゆっくり回り、何度も何度も振り返ってしまった。
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フランスの子どもたちがたくさん来ていて、あちこちで先生の説明を聞いている。小さな頃から本物に触れる素晴らしさ。うらやましい環境だ。
石像は いろいろな時代のものが おどろくほどたくさん展示されていて、学生時代に描いた「アグリッパ」などの本物にも会えて 「こ、こんなところで!」と感無量であった。
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「ミロのヴィーナス」はやっぱり別格扱い。
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学生時代に 頭部だけの石膏像を いろんな角度から何度も描いたが、とても難しかった。いろいろある石膏像の中で 一番難しかった。複製の石膏像ではない 本物の「ミロのヴィーナス」は 気高い姿で これから先も多くの人々に見つめられ続けるのだろう。

日本語版の館内見取り図を ビリビリになるくらい何度も広げて、とてつもなく広い美術館を、目当ての物を目指しつつ回ったのだが、最後になってフェルメールの「レースを編む女」を見忘れていたことに気づき、それも最上階にあることに気づき、ちょっと躊躇したが、ここはやっぱり頑張ろう!と ヒーヒー言いながらも階段で最上階に戻った。・・・ら、残念ながら、「レースを編む女」は出張中であった・・・。残念・・・。
最新号に近いガイドブックの見取り図と、実際の場所が変わっていたものもあり、だから、当日の日本語版の館内見取り図は必須であるな、もらえてよかったな、と思いつつ、それがあっても やっぱり、美術館は健脚でなければ かなりしんどい場所だな、というのが 率直な感想である。
しかし、この日は水曜日で、夜の10時まで開館しているせいか、全体的に人が少なく、どの作品もすぐそばでじっくり観ることができた。「モナリザ」でさえ、2人ほど待てば 真ん中の一番前で観られたのである。夫の「水曜と金曜は10時までだから狙い目」という耳寄り情報が 少しは役にたったのかもしれない。混んでいるのと、空いているのとでは、疲労感もかなり違うことだろう。

ルーヴルを出ると、夕暮れになっていた。
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サンドイッチスタンドにも灯りがともり、
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カルーゼル凱旋門が夕暮れの中に輝いていた。
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夜になっていくパリを歩く。
ヴァンドーム広場の美しいクリスマスイルミネーション。この広場に面して建つホテル リッツは、世界最高級なんだそうで、ダイアナ元英国皇太子妃が最後の食事をとったホテルなんだそうである・・・。
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ヴァンドームの塔も柔らかく輝く。
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夜のパリは、仕事を終えた人々で混雑していた。
そんな人波に流されるように歩いてコンコルド広場にさしかかると、エッフェル塔の毎正時の点滅を見ることができた。(動画再生すると、雑踏や車の音出るので注意してください)

シャンゼリゼ通りもすごい混雑だった。でも、なんだか様子が変・・・。路肩にたくさんのテレビ局の中継車、テレビカメラを持ったたくさんのカメラマン・・・。シャンゼリゼの中央付近の横断歩道は 信号が変わっても通行止めになっていて 向こう側に渡れない・・・。誰か有名人が来るのか??としばらく見ていたが、何しろ言葉がわからないので 事情もわからない・・・。
しかたないので シャンゼリゼをどんどん歩いて行ったら、一番はずれのところには カメラやiPhoneをかまえた多くの一般の人々・・・。
そして、答えがわかった。
この日は シャンゼリゼ通りのクリスマスイルミネーション点灯の日だったのだ。(動画再生すると、雑踏や車の音出るので注意してください)
携帯のカメラなのでよく撮れていないが、今年のイルミネーションは、上下幾重かに重なったドーナツ型の照明が いろいろな色に変化していく、というイルミネーション。
みんな身を乗り出して観たり撮ったり、中には道路に飛び出して まるで命がけで写している方々も・・・。
私たちは そんな無茶はしなかったけど、偶然にも 点灯初日のその瞬間に立ち会えてよかったよ。

あまりの混雑で、妙に疲れてしまい、「雰囲気、混み具合、値段」の三拍子そろったちょうどいいレストランを見つけられずに、しかたなくシャルル ド ゴール エトワール駅からメトロ2番に乗ってポルト ドーフィヌ駅へ。アパートメント近くの小さな店で飲み物と黒パンを買い帰宅・・・。
明日食べるはずだったチンするだけのポトフと、これまた チンするだけのレンズ豆と塩漬け豚の煮物、サラダ、パンケーキ、黒パンで夕食。・・・今日はレストランの予定だったんだけどね・・・。
この「チンするだけ」シリーズの料理は、かわいらしい鍋型の容器に入っていて、思った以上に美味しかったから、まあ結果オーライ!だった。
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19143歩歩いて、夫は筋肉痛だと言い出した。疲れてはいるものの、私は筋肉痛にはなっていなかった! そのことを自慢しつつ、明日筋肉痛が出ないように湯船にゆっくり浸かって、10時には寝た。
(つづく・・・)
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by hatake-garden | 2011-12-15 20:26 | 旅先のこと
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